<沿革>
1999年 山梨いのちの電話設立準備会発足
2000年 山梨いのちの電話設立総会
2001年 山梨いのちの電話開局
  大澤 英二 初代理事長 就任
2015年 大澤 英二 理事長 退任
  功刀 弘 新理事長 就任
2019年 功刀 弘 理事長 退任
  高戸 宣人 新理事長 就任
  (※高は、はしごだか)


ごあいさつー20周年を迎えてー
理事長 高戸宣人

 山梨の地にいのちの電話が発足して、はや20周年を迎えました。2001年4月7日、溢れるような不安と緊張そして期待に包まれて第1信を受けたのが昨日のように思い出されます。電話の内容はお一人お一人独自なものです。背後にお一人お一人の負った、他人に代えようのない人生があります。聴かせていただく相談員は研修を受けた無償のボランティアですが、ともにこの時代・この社会を生きている隣人として、苦しんでいる人と共にありたいという思いに支えられ、聴くことの力をよりどころに電話を受けています。20年間で受信数はおよそ99,000件になりました。

 発足当初は週5日の通常電話と、日本いのちの電話連盟主催の月1度のフリーダイヤルを受けてきました。2010年には通常電話を週6日に増やし、NPO法人化することができました。11年には東日本大震災を受け、東北3県対象の震災ダイヤルにも参加しました。しかし相談員の減少から、15年には週5日に戻さざるを得なくなりました。17年には道路拡幅工事のため、苦労のすえ現在地へ移転する出来事もありました。

 2020年、新型コロナ感染症拡大による緊急事態宣言を受け、相談電話を初めて15日間休止したのは痛恨の事態でした。そんな中、初代理事長の大澤英二氏が逝去されました。山梨いのちの電話を立ち上げ、多くの皆様の協力のもと大変な苦労の末に軌道に乗せた、当法人の帆柱でした。その帆柱を失ってまことに心細い思いがいたしますが、故人の遺徳を継承し、今後とも電話活動に邁進いたします。

 20年前と比べると、社会は急速に変化してきました。少子高齢化、人口減、社会経済状況の変化、ネットやSNSのやりとり、そしていつ果てるとも知れぬコロナ対策の数々は、生身の人の生き生きした繋がりを希薄にしているように思います。適応しようとするあまりに本来の大切な自分が置き去りにされ、いのちの実感も希薄になっているのではないかと心配です。

 いのちの電話は嵐の中の雨宿り、止まり木に例えられます。私たちにはわずかなことしかできませんが、沈んではいられません。相談員、スタッフ、そしていのちの電話を精神的経済的に支えてくださる多くの方々・団体があることを思い、皆様に深く感謝いたします。小さな山梨県でこの熱意と支えが20年続いていることにあらためて思いを致し、この灯火をしっかりと繋いでいきたいと思います。